第一部

鶴

雪ー白い幕をたらしたような　音のない世界
　そんな雪の世界から現れた美しい女　つるが
ある晩　貧しい百姓　大寿の家を訪れた。

大寿の嫁になった　つるは　ハタを織り始めた。

絶対に覗いてはくれるなといって
夜を日についで織り上げたその布は
今までに見たこともないような
白く美しいものであった。
つるの勧めで大寿は　この布を
　遠い町の商人に売り
思いがけないほどの銭を手に入れた。

もう一反段あれば　田んぼも　山も買える。
大寿の願いにつるは　
あの布は１年に一枚しかできないと断った。

しかし大寿の強い望みで　
ついにもう一反織り始めた。

ある日　大寿は　堅い約束を破って
ハタ織り場をそっとのぞきみた。

そこには
自分の羽を抜き弱った体を支えながら
一心不乱に機を動かす一羽の鶴が・・・

あっ鶴だと驚く大寿

鶴は　いつの日か　
猟師の手から助けた一羽の鶴の化身だった。

織りかけの布を残して　
つる　いや鶴は　必至に止める
大寿を後にしてとび去っていった。

はるかな青い大空の彼方に

鶴のラストシーンの作成は
わずか数秒　それを氷点下２０度の
北海道で２週間がかりで撮影がされた。